それはとてもとても単純な問いで,とてもとても深遠な問いだったりします.

酒を楽しむ.酒で楽しむ

楽しみ方は千差万別

お酒を飲むときに一番もったいないと管理人が思うのは,お酒を「酔っぱらうために」飲むことです.人生どうしてもご機嫌が良くないこともあるし,そんなときにパーッと忘れたい! と思うこともあると思います.忘年会なんてまさにそれなんですが,もったいないのは間違いない.楽しくないお酒を,それこそ記憶がなくなるまで浴びるように飲む…なんて飲み方では,身体にも心にもよくありません.続けていればあっという間に依存症…なんてことも.

じゃあお酒のいい飲み方って何? となるわけですが,お酒の飲み方に唯一の答えはありません.もしあるとしたら,楽しいお酒を飲むことでしょうか.人間というのは楽しむことにかけては天才的な生き物なので,お酒という単体の飲み物であっても,楽しみ方を様々に考えてきたわけです.まずは事例を紐解いてみましょう.

酒「を」楽しむ

もっともメジャーな酒の楽しみ方は,もちろんお酒そのものを楽しむことです.だって旨い飲み物ですから.

酒の美味しさを追求するのはある意味簡単です.いろいろなお酒を試してみて,好きなもの嫌いなものを探せばよいのです.お酒にうるさい人たちには…管理人もそうですが…やれ料理との相性だとか限定品だとか有名処だとか,いろいろ言ってきますが,とりあえずそういうのは全部うっちゃっておいて,まずは素直に自分の好きなお酒を探しましょう.このサイトはビールの紹介サイトなのでビールばっかり紹介していますが,ビールはダメ,でもいいんです.

ひとつ好きなお酒ができれば,次は,そのお酒の味を中心に「あの好きなお酒とはちょっと違う」という違いを楽しむのが次のステップです.新しいお酒は好きなものに比べて甘い,苦い,薫り高い,臭い,水っぽい,濃い,粘っこい,色がきれい,濁ってる…違いがあります.その違いが,新しいお酒の特徴なのです.その中に少しでも「こういう味/色/匂いもあるんだな」と感じられれば,新しい世界が広がります.

ひとつだけ大事なポイントがあります.それは,この楽しみ方をするときには,味や香りがわかる量にとどめておくことです.どんな料理だって満腹だと美味しさは半減します.酒は特にアルコールのせいで様々な感覚が鈍ってしまいますので,好きなものやいろいろなものを,ちょっとずつ試してみるのが最良の楽しみ方です.それさえ守ればOKです.一人でもOK,安いお酒でもOK,ジャンルだって気にしなくてOKです.まずはお酒を楽しみましょう.

酒「で」楽しむ

お酒の楽しみ方は,それだけではありません.お酒は気分を高揚させてくれる飲み物です.いつもなら気弱でできないこともできるようになるのがお酒の力です.それを楽しいことに使う,つまり,お酒で楽しく過ごすというのがもう一つの大きな楽しみ方です.

もちろん友達と一緒にワイワイゲームをしながらというのもありでしょう.大学であったことや教授たちの愚痴を共有しながらというのもアリ.レンタル映画を借りてきて見ながら楽しむのもOKですし,もちろん互いのお酒の蘊蓄を語り合うのも楽しいです.お酒が入ると,良きにつけ悪しきにつけ,話したいことを気楽に,気負わず,気にせずしゃべれるようになりますので,より友達関係を強固にするのにうってつけです.…もちろん,その人の本性も見えてきてしまうので,それで幻滅したりすることもあるかもしれませんが,知らずにギクシャクした付き合いをするよりはよいのではないでしょうか.

友達がいないとそんなコミュニケーションはできないよね…という心配がある方には,カウンターがおすすめです.カウンター席はハードルが高いと思っている人もおられるかもしれません.でも,カウンターに座っている人たちは,自分が初めてカウンターに座ったときのことを覚えていますので,たとえ緊張していても,コミュニケーションを取りたいなら取ってくれますし,そうでないならそっとしておいてくれます.大体は,ですが.逆に,自分から積極的に話を振るのもよいでしょう.静かに飲みたい人には振られてしまうかもしれませんが,気にしなくても大丈夫です.みんなそういう機会を経てカウンターに座っている人たちばかりですので.

それも難しければ(あるいは,そうしたいんだけどなかなかできずに焦っていたら),カウンターの中の人と話をするのも一興です.カウンターの中の店員さんはもちろん様々なお客さんを見てきていますから,ぎこちなく話しかけてもちゃんと話を聞いてくれます.それに,多くの店員さんは当然お酒に詳しい人が多いので,聞きたいことにもいろいろ答えてくれるはずです.とくにカウンターに一人ぽつんと座っている場合には,ぜひ試してみましょう.

ちょっと異色の楽しみ方も

お酒やビール本体や,その経験そのものを楽しむのではない,ちょっと異色な楽しみ方もあります.

そのうちこのサイトでも記事を紹介しようと思うのですが,ビールを飲むうえで重要な要素の一つにグラス・ジョッキがあります.もちろん,グラスやジョッキの選択でビールの味や飲み方が変わったりするのですが,それはそれとして,クラフトビールブルワリーではグラスやジョッキなどの関連グッズを販売していたりします.そういうのをコレクションするのもお酒の楽しみ方のひとつ.お店によってはビールを出すときに使うコースターにこだわっていたり,ステッカーのように気軽に手に入るものもありますので,特に旅先でビールを楽しんだときの記念にあつめてみるのも面白いでしょう.

ビール関連の商品はグラスだけではなく,栓抜きやグラウラー(ビール用の水筒),Tシャツやトートバッグなど,店によって様々です.繰り返し使えるものがほとんどですし,ちょっと詳しくなったころにイベントなどに持っていったりするとヒーローになれたりするかもしれません.誰にも気づかれないこともありますが,あんまり自慢すると痛い人になりかねないので,そこは相手の出方を待つのがよいかなと思います.

お酒関連書籍などを楽しむのもひとつです.飲んだことのないお酒の情報が手に入るだけでなく,そのお酒にまつわるエピソードや周辺地域の情報なども一度に入ってくるので,旅行に行く機会が少なくても,さまざまに想像を膨らませながら楽しめます.パンフレットや雑誌だけでなく,マンガ,小説などもありますし,最近だとドラマやアニメになったりもしているので,期せずして見ることもあるかなと思います.

経験を積んだら…

ここまで書いてきた「酒を楽しむ」「酒で楽しむ」やり方はあくまで最初の一歩です.いろいろなお酒を試し,いろいろな付き合いを経験してきたら,次は自分なりの楽しみ方を掘り下げる時間です.もちろん,無理に掘り下げなくてもOKですが,お酒は思った以上に広い世界です.

例えば,ビールのイベントに参加してみたり(これも,客としてだけではなく,スタッフとして店の立場で参加することもできるイベントもあるので,さらに知らない世界を楽しめます),あちこちのブルワリーや造り酒屋の見学に行ったり,酒の専門店でお気に入りの逸品を選んでみたり.

お酒は日本だけの文化ではありません.海外に行く機会があれば,その国の酒文化を試してみるのも一興でしょう.その地域独特のお酒もありますし,ビールだけを取り出してもその地域の特徴が出ます.東南アジア諸国では氷を入れてビールが提供されたりするのですが,ちょっとびっくりしましたっけ….そういう経験もまさに,お酒の楽しみ方と言えるでしょう.

さあ,ビール片手に,自分なりのお酒の楽しみ方を見つけよう!